ネパールから
毎日予告無しでの停電、1日8時間が2回の16時間。デスクトップのパソコンでは仕事にならない。
それまでは毎日6時間が2回、その前は毎日4時間が3回、その前は毎日4時間が2回、この1年間、政府はそう発表してきた。
ネパールに7日に入って、事務所でいきなり「最近はまた水事情が悪くなってきたので、タンクローリーで買わなくてはならない」と、言われた。
「電気は来ているか」の問いにも、「停電ばっかりです」。
10日のカトマンズポスト朝刊1面に以下大きく見出しがあった。
『Power outage to hit 16hrs from Sunday』。水量が足りないからに始まって各地区での起電量など種々書いてあったが、今のネパールはおかしい。
政府とマオイスト(テロリスト)の停戦協定が成って、選挙で勝ったマオイストから首相を出すなど、ネパールが安定化していくと思っていたが、あらゆる面でだんだん悪くなる一方の気がする。
まず、停戦協定は今もそのまま、その上に、アメリカはマオイストが政権入りした今もマオイストのテロリスト指定は解かないまま。さらに毎日の危険きわまる暴力的ゼネスト、そのストライキの頻度は上がっているのではないか? 街の至る所でデモやストライキが頻発。ゴミは片づけられずに町の角々で山積みに、ごみ運搬に携わっている人々のストライキだ。ネパールに入ってからずっとだ、いつまで続くのか見通しも立たず、汚くて歩けない、外を歩いた靴で事務所に入れない。電気が無いことに怒ったストライキも大きかった。トロリーバスも電機の問題でストライキに入っている。
先週の一週間は、ネパール最大の観光地ポカラで400以上のホテルとレストランが従業員のストライキに会い、外人旅行者達は食事ができない、泊まれないで、急遽(きゅうきょ)カトマンズとチトワンに避難させられる羽目に。5日間のストライキだった。その後、ポカラには外人は全くいなくなるなど、ホテルとレストランは半年から1年はこの影響を受けるだろうと新聞で読んだ。
いつも陰にマオイストのセントラルコミッティーやYCL(マオイストの青年隊)の影が纏(まと)わり付いている。常にマオイストの赤い旗やマオイスト関係の青い旗が使われている。
この暴力的ゼネストに出会うと、野次馬が多くいったい何が起こったんだという雰囲気で、全体的には平和に見えなくもない。しかし、ある時は数十人で、ある時は数百人もで、一糸乱れずきれいに並んで進む、赤旗を振ってスローガンを連呼しながら、周りで見守る人々に対して奇声を上げながら通過していくその雰囲気は異常だ。少なくてもアメリカやヨーロッパの通行人が自由に飛び込んで自由に笑い合いながら行進するデモとは違う。少なくても行進の仕方は厳しく訓練されているようだ。多くの人々が「彼らは、老人と仕事の無い若者達で交通費だけで村からかき集められて来ている」と言う。確かにその中に紳士淑女と思(おぼ)しき人々は全く見え無い。外見で判断してはいけないが、その殆どは粗末な服装で、痩せた、どこか強制労働所から連れてこられたのではないかと感じられる、現生の者ではない雰囲気だ。
昨日もトリプレショールの国立競技場近くでのミーティングに、20分もあれば行ける所に辿り着くのに、2カ所でのデモ行進にぶつかり、回り道回り道で1時間半も掛ってしまった。幸い相手も同じ目に合い同じく遅れたので時間に遅れても胸を撫で下ろすことができたが。
今やデモとストライキはネパールの政治的プロセスに組み込まれてしまっているようだ。
マオイストをテロリストに指定しているアメリカがそれを解かない理由が良く解った気がする。
14日の新聞に、「マオイストは倒れない」との見出しがあった。サブに「もし倒れたらマオイストだけの政府を作る」とあった。プラチャンダ首相(マオイストのトップ、本名はプスパ・カマル・ダハル)の談話だ。最近噂されていた話であり、首相でありマオイストのトップがわざわざ談話で出さなければならないほど追い込まれているのかと、頷(うなず)くばかりだった。 彦
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